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【ネタバレあり】名作『恋する惑星』の魅力を改めて語りたい!

どうも、映画監督志望の田中です。

毎日映画を観ている私が、個人的に面白かった映画の感想を紹介していきます。

今回取り上げるのは、香港の巨匠、ウォン・カーウァイ監督の名作『恋する惑星』。満を辞してのオールタイムベスト、とにかく大好きな作品です!

※ネタバレ含みます

映画概要

香港を舞台に、若者たちのすれ違う恋模様を描いた作品で、ウォン・カーウァイ監督の名を世に知らしめた群像ラブストーリー。メインキャラクター刑事223号を金城武、警官633号をトニー・レオンが演じています。第14回香港電影金像奨で最優秀作品賞など3部門を受賞しました。

あらすじ

「その時 彼女との距離は0.1ミリ。57時間後 僕は彼女に恋をした―」

エイプリルフールに失恋した刑事223号。振られた日からちょうど1カ月後、自分の誕生日までパイン缶を買い続けている。恋人を忘れるため、その夜出会った女性に恋をしようと決めた223号は、偶然入ったバーで金髪サングラスの女性と出会う。一方、ハンバーガーショップの店員フェイは、店の常連の警官633号にあてられた元恋人からの手紙を店主から託される。その手紙には、633号の部屋の鍵が同封されていた。633号に恋心を抱いているフェイは、その鍵を使って部屋に忍び込む……。

「用心深くなりレインコートを脱がない女」「誕生日までパイン缶を集める刑事」「同じ曲をかけ続けるハンバーガー屋の店員」「失恋の傷が癒えず、寄せられる恋心には鈍感な警官」……。無国籍な香港を舞台に交錯する男女を描いた、90年代の空気感をリアルタイムに封じ込めた群像劇。

感想

まずはざっくりした作品の感想をお伝えします。

スタイリッシュな恋愛活劇

この作品の魅力は、とにかくスタイリッシュであるということ。

都会で生きる若者達の出会いや恋愛模様に良い意味でリアリティがなく、まるでどこかの惑星のおとぎばなしのように寓話的にストーリーが進んでいきます。

モノローグの浮遊感、都会の街を幻想的に見せるネオン、演出のシュールさ。

極限までリアリティを削ぎ落とすことで、おしゃれでスタイリッシュな恋愛活劇に仕上がっているというのがこの作品の魅力でしょう。

90年代香港のむせ返る匂い

作品の舞台は香港。映像から香港のむせ返るような匂いが伝わってくるような魔力を感じます。

特に刑事223号が駆け巡る香港は夜、フェイが警官633号に恋をするのは昼の香港。また違った顔を見せる香港の街を楽しめるんですね。

今よりもさらに混沌としていて、どこかノスタルジックさのある当時の香港を楽しみたい方は、ぜひご鑑賞ください!

恋をするのは難しいことじゃなかった

この作品で感じさせてくれるのは、恋をすることの楽しさと、「誰かに恋に落ちるのはそんなに難しいことではない」ということです。

失恋で昇進中の刑事223号は、その夜出会った女性に恋をしようと決めます。そう、なんとも大胆な恋の仕方。博打です。しかし、そのくらいの軽やかさが人の人生を豊かにするのではないかとも思わせます。

作品後半に登場するフェイも、刑事223号とはすれ違ってしまうものの、そのあとすぐに出会う刑事633号に恋に落ちます。ものの一瞬で。彼女の行動力は凄まじく、彼の不在時に家に侵入してしまうほど。

側から見ればフェイは「ストーカー」という類の人間になっていますが、あまりにも軽やかに楽しそうに恋をしているので、見ている側は全く不快にならないんです。

やはりそれは、この作品の登場人物たちが軽やかに恋を謳歌しているからなのではないでしょうか。

見どころ

次に、『恋する惑星』をもっと楽しむための見どころをご紹介します。

世界観にマッチした音楽に酔いしれろ

『恋する惑星』がここまで名作たらしめてる理由の一つに、素晴らしい音楽の存在が挙げられるでしょう。

特に『夢のカルフォルニア』や『夢中人』は、聴くだけで作品世界の情景を思い起こせるほどです。映画において音楽がどれだけ大切な要素なのか実感させてくれるのも、この作品の魅力でしょう。

ぜひ作中の音楽に酔いしれてください。

トニーレオンの警官役が最高

この作品で特に印象的だったのが、トニーレオンの警官633号役です。

とても板についており、バーガーショップの店員フェイに見せる一つひとつのなんとも思わせぶりな色気のある表情が最高でした。

また、物語終盤でフェイト待ち合わせをする時に着てきたチェックシャツの服装が少し野暮ったく、偶然会った元恋人に「制服の方が良い」と言われてしまうというエピソードも絶妙にチャーミングでした。

健気なフェイ・ウォンがチャーミング

作品をより魅力的にしているのは、まさにフェイ・ウォンのチャーミングさでしょう。

フェイ・ウォンはバーガーショップの店員をしており、店の常連警官633号に恋をします。どちらかというとボーイッシュないでたちの彼女ですが、恋をして小さなことで浮き沈みする姿はとてもチャーミングで恋する乙女そのもの。

しかし経験633号と対面のコミュニケーションを積極的に取ろうとせず、彼の不在時に部屋に侵入し掃除をするなど「間接的なコミュニケーション」を取ろうとするその奥手さがなんとも健気でフェイらしかったです。

ぜひ大胆なのに引っ込み思案なフェイの可愛らしさに癒されてください。

『恋する惑星』が好きな人におすすめの映画

ここでは、『恋する惑星』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。

天使の涙

ネオンきらめく香港の街、音と光。5人の若者たちの恋と青春群像を描いた香港の名匠ウォン・カーウァイによる映画作品。

全編にわたる極端なワイドレンズ、トレードマークのコマ落とし・コマ伸ばしの連続。アクション場面の躍動感、光と音の斬新でスタイリッシュな使い方など、ビジュアルセンスにさらに磨きのかかった一遍です。

製作は『黒薔薇VS黒薔薇』、『チャイニーズ・オデッセイ』など娯楽作品の監督を務めるジェフ・ラウ。撮影は『欲望の翼』以来コンビを組むクリストファー・ドイル。美術は『いますぐ抱きしめたい』以降のカーウァイと組むウィリアム・チョンなど、ウォン・カーウァイ作品の常連スタッフが集結しました。

出演は『妖獣都市・香港魔界篇』『シティー・ハンター』のレオン・ライ、『スウォーズマン/女神伝説の章』のミシェル・リー、『恋する惑星』『初恋』の金城武、『バタフライ・ラヴァーズ』『トワイライト・ランデブー』のチャーリー・ヤン、『チャイニーズ・オデッセイ』のカレン・モクいつも通りの豪華メンバー。

おすすめポイント

この作品は、当初3話予定だった『恋する惑星』で省略したエピソードを発展したものと言われおり、そのため類似点も多く作品の雰囲気も似ています。

監督いわく「同じスピリットから生まれたもので、続編ではない」とのことで、純粋な続編ではないものの、『恋する惑星』が好きな人には間違いなく満足できる作品に仕上がっているのは事実です。

この作品では香港の描写がグレードアップしており、さらに妖艶で摩天楼のような幻想的な香港を楽しむことができます。ぜひチェックしてみてください!

ソングトゥソング

『名もなき生涯』『ツリー・オブ・ライフ』『天国の日々』などを手がけた名匠テレンス・マリック監督作。ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンと豪華実力派俳優を揃え、4人の男女が幸せを模索する姿を描いたヒューマンドラマです。

音楽の街、オースティン。フリーターのフェイは大物プロデューサーのクックと密かに付き合っており、売れないソングライターBVは、そんなフェイに思いを寄せていた。その一方、恋愛をゲームのように楽しんでいるクックは、夢を諦めたウェイトレスのロンダを誘惑する。さまざまな思いが交錯するなか、4人に思いもよらない運命が待ち受けていた……。

フェイ役をマーラ、BV役をゴズリング、クック役をファスベンダー、ロンダ役をポートマンがそれぞれ演じる。また、リッキー・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなど大物ミュージシャンたちも出演。撮影は『ゼロ・グラビティ』などで3度のアカデミー賞を受賞したエマニュエル・ルベツキが担当。

おすすめポイント

この作品は、男女複数人の恋模様を描いている点、浮遊感のあるモノローグや演出など、『恋する惑星』が好きな人が楽しめる要素がたくさんつまっていると思います。

会話シーンを極力削ぎ落としたモノローグでの会話の進行が、スタイリッシュで都会的な雰囲気とマッチしています。

エターナルサンシャイン

『ヒューマンネイチュア』のミシェル・ゴンドリー監督が、同作同様チャーリー・カウフマンによる脚本を映画化。

ジョエルは、元恋人のクレメンタインが特定の記憶だけを消去する施術を受け、ジョエルの記憶を消したことを知る。自分もクレメンタインの記憶を消そうと同じ施術を受けるが、彼女を忘れたくないジョエルの深層意識は、施術に反抗する。必死で脳内のクレメンタインの記憶を守ろうとするが……。

おすすめポイント

この作品は、ユーモア溢れる脚本もさることながら、映像美が見事です。日の光の描写や劇中で髪色が何度も変わるクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)の姿が幻想のように美しく、思わず見惚れてしまいます。

『恋する惑星』で映像の美しさに心を掴まれた方は、ぜひ『エターナルサンシャイン』もチェックしてみてください。

ミステリートレイン

ロックンロールの町、「メンフィス」のホテルに3組の旅人が現れる……。若者たちの一夜を、3話のオムニバス形式で描いたジム・ジャームッシュ監督作品。

夜汽車が走り、エルヴィスの『ブルー・ムーン』が流れる夜が明け、一発の銃声が響く。ニコレッタ・ブラスキ、スティーブ・ブシェミのほか、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスやジョー・ストラマー、工藤夕起と永瀬正敏の主演が当時日本でも話題になりました。

おすすめポイント

ある街を舞台に繰り広げられる若者たちの、交差しそうでしない群像劇…というのが、『恋する惑星』を彷彿とさせる作品です。

こちらは香港でなくロックンロールの町、メンフィスが舞台ですが、また違った風情を楽しめます。日本人キャストの工藤夕起さん、永瀬正敏さんが出ているのも楽しめるポイントです。

青春神話

『青春神話』は、台湾映画界の期待の新人、ツァイ・ミンリャン監督の第一作です。舞台は台湾の首都、台北。一人の予備校生と周辺人物の人間関係を通し、台湾社会の抑圧された社会を描く青春群像劇。92年中時晩報電影奨最優秀作品賞、93年東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞、トリノ映画祭最優秀新人監督賞受賞。

おすすめポイント

この作品は、当時(90年代)の現代台湾の若者達を描いており、アジアの若者たちの群像劇という点で、『恋する惑星』を好きな人が楽しめるのではないかと思いました。

現代台湾の雑多な街並みを堪能したい方は、ぜひチェックしてみてください!

初恋

ウォン・カーウァイプロデュース、金城武&カレン・モク共演の異色青春ドラマ。

夢遊病の少女と夜間清掃員の青年。恋に臆病な男とその恋人が繰り広げる、2つの恋の行方を描くオムニバス形式の物語。ドキュメンタリータッチの描写を多用し、ライブ感を駆使したこの作品を監督したのは、DJ、デザイナー、ラッパーなどの活躍で香港のカルチャーシーンをリードするエリック・コット。

おすすめポイント

この作品は、ウォン・カーウァイ監督がプロデュースしただけでなく、『恋する惑星』に登場した金城武が主演を務めています。金城武に興味を抱いた方は、ぜひこの作品もチェックしてみてほしいです。

『恋する惑星』よりもさらに個性的な役側を演じきっています。また、ウォン・カーウァイ作品『天使の涙』に出演したカレン・モクも出演しており、ウォン・カーウァイ好きなら一度は観ておきたい作品と言って良いでしょう。

まとめ

以上、映画『恋する惑星』の魅力や見どころをまとめました。

時代を超えても色褪せないスタイリッシュな群像劇。無責任に軽やかに恋をする若者たちの日常を、何度も繰り返し味わって欲しいです。

ほかにもウォン・カーウァイ作品は『欲望の翼』『ブエノスアイレス』など名作揃いなので、興味のある方はぜひ他の作品も観てみてください!