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【ネタバレあり】映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』の感想や見どころを紹介!現実を超えていく音楽の力

こんにちは、映画監督志望の田中です。

毎日映画を観ている私が、おすすめ映画の見どころや感想をご紹介していきます。

本日紹介するのは、2022年公開の映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』です。自閉症の妹とアルコール依存症の姉が織りなす日常を、ポップな音楽を明るく照らします。

概要

素顔を見せないポップスターとして世界で注目を集めるシンガーソングライターの「Sia(シーア)」が初監督。彼女自身の半生を投影させ描いた音楽ドラマ。

主演は『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソン。SiaのMVでみせたダンスパフォーマンスが世界的に注目を集めたマディ・ジーグラーが妹、ミュージック役に。『あの夜、マイアミで』のレスリー・オドム・Jr.が姉妹の隣人、エボ役を演じる。

ミュージックの脳内に広がるカラフルでポップな世界を表現した音楽シーンでは、Siaが書き下ろした楽曲に乗せキャストがダイナミックなダンスと歌唱を披露しました。

あらすじ

アルコール依存症のズーは、リハビリプログラムを受けながら日々を送っていた。そんなある日、ズーは祖母の死をきっかけに、疎遠になっていた自閉症の妹、ミュージックと暮らすことになる。

感受性が豊かで周囲に敏感なミュージックとの新しい生活に戸惑うズーに、心優しい隣人のエボが手を差し伸べる。姉妹とエボ、3人の穏やかな生活に居心地の良さを覚え始めたズー。自身の孤独や弱さと向き合いながら、少しずつ変わろうとするが……。

感想

まずはざっくりとした作品の感想を述べていきます。

どんな現実も超えていける音楽の力

この作品の魅力は、重いテーマでありながら、音楽のポジティブな力が現実を越えようとするところだと思いました。それが単なる現実逃避ではなく、現実への希望を見出すような作りになっている。そこが素敵だと感じました。

まず、作品の内容は、アルコール依存症のズーが、自閉症の妹の面倒を見ることになるというもの。自分自身と向き合うことさえ難しいズーが、妹を理解しながら生活していくとなると、トラブルの連続。良いことばかりではない、むしろ辛かったり、うまくいかなかったりすることの方が多い現実。そんな現実に直面したときにこそ、音楽の力が活力となります。

ハードな現実を超えていく音楽が「逃避」になるのか「希望」になるのかで、作品自体への見方が大きく変わると感じました。

幼少期、暗がりで迷子になった時のことを思い出しました。幼い私にとって、夜の道で両親と離れることは絶望に等しいこと。そんななか私は、なんとかこの現実を越えようと陽気な音楽を口ずさみました。音楽と戯れている間は、少しだけ現実を忘れることができました。強くなった気さえしました。その後、 無事両親と落ち合うことができ、すっかりその時口ずさんだ音楽のことは忘れてしまいました。しかし、初めて音楽の力を意識したのは、その頃だったかと思います。その後、人生のあらゆる局面で私を助けてくれたのは、音楽でした。

この作品は、「音楽」が少なからず自分の人生に影響を与えている、自分を強くしてくれている。そう思える人にこそ観てほしい映画だと思いました。

明るくポップに描かれるミュージックの脳内

この作品の大きな魅力は、明るくポップに描かれるミュージックの頭の中でしょう。

劇中では、随所に音楽シーンが挟まれます。これは、キャラクターの心情とリンクしたものになっており、現実世界での状況によって色合いや曲調も変化していきます。

それでも一際輝くのは、いつも明るくポジティブなミュージックの世界です。自閉症のミュージックは、うまく自分の感情を伝えることが難しい。日常生活は常にパニックの予感との隣り合わせ。しかしミュージックの頭の中は、常に希望に溢れた音楽で満ちている。ミュージックの空想の世界は、常に無限の広がりを見せ、いつもポジティブな可能性で溢れています。

MVのような音楽パートは非常に見応えがあり、楽しませてくれること間違いなしです。

感覚で楽しむのも◎

この作品は、見方によれば音楽パートがメインという捉え方もできます。

ストーリー自体に疑問を感じたり、ハマることができなかったりする人もいるでしょう。しかし、Siaの作る音楽やファッショナブルなMVが好きという方は、感覚でこの作品を楽しむのもありだと思います。

現に音楽パートで登場するミュージックやズーの衣装は非常にポップで素敵ですし、Siaの聴き心地の良い音楽は一級品だと感じました。難しく考えず、長いMVとしても十分楽しめる作品なのではないでしょうか。

もっと自由に、もっと柔軟に。そうすればきっと作品にも、音楽にも乗っていくことができるはずです。

見どころ

次に作品の見どころを深掘りしていきましょう。

表情豊かなケイトハドソン

主人公のズー役と務めるのは、『あの頃ペニー・レインと』でお馴染みのケイトハドソン。彼女の表情豊かな演技は特に大きな見どころでしょう。

アルコール中毒でリハビリ中の彼女ですが、はにかんだ笑顔は非常に魅力的で、人間的な輝きが滲み出ています。辛い現実に差し込まれる光のようなズーの笑顔は、音楽と同様、とても希望的に映りました。

そんな無邪気な笑顔をみせるズーですが、どこか老成した重みがあるその佇まいは、彼女がこれまでどんな人生を送ってきたか視聴者に想像させます。子供のような無邪気さと、人生の辛さを知ったシリアスなダークさが共存しているのがズーの魅力であり、それを見事に繊細に演じ切ったケイトハドソンに拍手喝采です。

周辺人物の優しさと救い

『ライフ・ウィズ・ミュージック』は、ミュージックの周辺人物の優しさがじんわりと心に染み入る暖かい作品でもあります。

「主人公が辛い目に合う映画が観れない…」という方でも、安心して楽しめるかと思います。

冒頭、ミュージックの日常ルーティーンである朝の散歩シーンを見ると、ミュージックが街の人に優しく守られてきたのが分かります。ミュージックを長年支えてきた祖母をはじめ、隣人や街の人の、押し付けがましくないささやかな優しさに、思わず暖かい気持ちに。

作中に挟まれるシュールな子供番組

個人的にとても好きだったのは、ミュージックが熱心に観ているローテンションな子供番組です。

この子供番組、非常にシュールです。司会の女性のやる気のない口調が癖になりますし、登場する脱力系のモンスターもなんだかとても可愛らしい。

作品自体にこの番組が密接に関わっていくことはありませんが、ぜひ一つの小ネタとして、子供番組も注目してみて欲しいです。

映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』が楽しめる人の特徴

映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。

  • 音楽が好き
  • Siaの音楽やMVの世界観が好き
  • 音楽が素敵な映画を観たい
  • ミュージカル映画が好き
  • ミュージックビデオのような映画が好き
  • 音楽が効果的に流れる映画が好き
  • 可愛い色彩の映画が好き
  • 前向きな気持ちになりたい
  • ハッピーエンドが好き

映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』が好きな人におすすめの映画

ここでは、映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!

ダンサー・イン・ザ・ダーク

『奇跡の海』のラース・フォン・トリアー監督が、アイスランドのシンガービョークを主演に撮った人間ドラマ。過酷な運命に翻弄されながら、息子のためにすべてを投げ打つ悲劇の主人公、セルマの姿をミュージカル調に描いた本作。2000年・第53回カンヌ国際映画祭で最高のパルムドール受賞。セルマ役を熱演したビュークは女優賞を受賞。

舞台はアメリカの片田舎。チェコ移民のセルマは、息子ジーンと2人、慎ましく暮らしていた。セルマは隣人たちの優しい友情に包まれ、生きがいのミュージカルを楽しむ質素ながら幸せな日々に満足していた。しかし彼女には、ある悲しい秘密があった…。

2000年の公開時、日本でも興行収入24.2億円の大ヒットを記録しました。

おすすめポイント

まず初めに言っておきますと、この作品は音楽が希望となっている点は『ライフ・ウィズ・ミュージック』と関連していますが、ストーリーの展開は非常にシリアスで、観賞後の後味は大きく違うということです…!シリアスな展開が続いていく映画やバッドエンドが苦手な方にはおすすめできな映画となっていますので、ご注意ください。

このように、この作品は過酷な現実の中で、音楽が希望、もしくは現実逃避のツールとなっています。ミュージカル調に描かれる音楽パートが希望的な分、現実の落差が凄まじく、主人公の悲壮な現実がより生々しく映ります。

アイルランドの実力派シンガービョークが熱演していることもあり、音楽性は高く、芸術的なシーンとして楽しめることは間違いなしです。

タレンタイム

この作品は、2009年に他界したマレーシアの監督ヤスミン・アフマドの遺作となった長編映画です。

音楽コンクール「タレンタイム」(才能の時間)が開催されるとある高校で、ピアノの上手な女学生ムルーは、耳の聞こえない少年マヘシュと恋に落ちる。また、二胡を操る優等生カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手い転入生のハフィズを嫌っていた。

音楽コンクールに挑戦する生徒たちのささやかな青春を描きながらも、民族・宗教の違いによる葛藤を抱えた人びとの様子を通し、多民族国家マレーシア社会を映し出します。

おすすめポイント

この作品では、宗教や民族の違いによる葛藤と、それを超越していく存在として「音楽」が希望的に描かれています。

『ライフ・ウィズ・ミュージック』と同様、音楽の大きな力を感じられる素敵な作品です。

物語の舞台である多民族国家マレーシアにおいて、音楽は「救い」として非常に希望的に、健気に描かれます。特に、不仲であったマレーシア人のハフィズと中国人のカーホウが音楽を通じて和解するシーンは、理屈を超えた美しさがあります。必見、そして必聴です。

ジョーカー

「バットマン」の悪役として知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックスが主演。『ハングオーバー!』シリーズなどのコメディ作品で注目を集めたトッド・フィリップス監督がメガホンを取りました。

道化師のメイクを施し、狂気で人々を恐怖に陥れた悪のカリスマがいかにして誕生したのか−−。原作のDCコミックスにはない、映画オリジナルストーリーで描きます。第79回ベネチア国際映画祭で、最高賞の金獅子賞受賞。第92回アカデミー賞で作品賞ほか11部門でノミネート。主演男優賞と作曲賞を受賞。

「どんなときでも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の教えを胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、世界に笑顔を届けようとしていたはずの男は、やがて狂気に満ちた悪へと変貌していく…。

おすすめポイント

もうあえておすすめする必要がないくらい注目を集めた作品だと思いますが、ここで『ライフ・ウィズ・ミュージック』を観た方に再度観てほしい作品としてご紹介させていただきます。

個人的に『ライフ・ウィズ・ミュージック』は、『ジョーカー』に通づる側面がある映画だと感じました。

それは、辛い現実にある人物が、何かに希望を見出し、現実を超越しようとするという点です。そのある種の健気さが痛々しく、そして美しく描かれたのが本作『ジョーカー』なのではないでしょうか。

もちろん現実の世界を生きている私たちにとって、現実を超越する体験ができるのは、きっと映画だけなのではないでしょうか。そして過酷な現実を生きる主人公が現実を超越する瞬間は、それが善であれ悪であれ、美しい。

『ライフ・ウィズ・ミュージック』を観たあとに本作を見ると、さらにジョーカーの狂気の根源を理解できるような気がします。ぜひ改めてご覧ください。

まとめ

以上、音楽映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』の見どころや感想をご紹介しました。

ポップでファッショナブルな音楽やダンス、優しく暖かいストーリー。この作品の楽しみ方は人それぞれですし、自由です。難しく考えず、ミュージックのカラフルな頭の中を感覚で楽しむのも良いでしょう。

しかしとにかく、この作品の現実を越えようとするパワーが人びとを前向きな気持ちに動かすことは間違いありません。

「最近うまくいかないことばかり」という方や、「辛い現実を生きる力がほしい」という方。単純にリズムに乗って音楽を楽しみたい方、踊りたい方、たくさんの人におすすめしたい映画です。

ぜひチェックしてみてください!

ここまで読んでいただきありがとうございました。