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【ネタバレあり】映画『マイ・プライベート・アイダホ』の見どころや感想!リバーフェニックスのアドリブが光る名シーンにご注目

こんにちは、映画監督志望の田中です!

毎日映画を観ている田中が、おすすめの映画の見どころや感想をお伝えします。

本日ご紹介したいのが、こちらの映画。

1991年公開の映画『マイ・プライベート・アイダホ』。

リバー・フェニックスとキアヌ・リーブスの共演で実現した切なくも美しい青春のロードムービーです。先日『Summer of 85』を観た際、こちらの作品を思い出さずにはいられなかったので再び鑑賞。やはり素敵な作品でご紹介したくなったので、記事にさせていただきました。

『マイ・プライベート・アイダホ』の見どころや感想をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

※ネタバレ含みます

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概要

スター俳優、リバー・フェニックスとキアヌ・リーブスが共演し話題を呼んだ青春ロードムービー。

ポートランドの路上に立ち男性に体を売って暮らす、男娼の青年マイク。ナルコレプシーという緊張すると意識を失ってしまう奇病に悩まされるマイクは、自分を捨て姿を消した母親を捜すため、市長の息子で男娼のスコットとともに、故郷アイダホへと向かうことに…。

同性愛やドラッグなどの内容を、詩的な映像を通して独自の観点から描いたガス・バン・サント監督の傑作。リバーフェニックスの遺作『ダーク・ブラッド』(20121年公開)の公開にあわせ、2014年にリバーフェニックス特集上映でデジタル上映されました。

あらすじ

緊張すると突然眠り込んでしまう、ナルコレプシーという病気を抱えながらポートランドの路上で体を売るストリートキッズのマイク。マイクの親友スコットは市長の息子で、家を飛び出して男娼をしてお金を稼いでいた。

そんなある日、突如失踪した母親を探すことを決意したマイク。マイクは親友のスコットを誘い、兄の暮らす故郷、アイダホに向けてバイクで旅立つ…。

感想

まずは映画の感想をご紹介します。

身分の違う二人が出会い絆を深めるロードムービー

この作品の主人公マイクと親友のスコットは、ともに男娼という同じ境遇にいながら、まったく違う身分にあります。両親がおらず、突然眠り込んでしまう病気に悩まされるマイク。市長の息子として将来を約束された立場にあるスコット。

そんな二人はポートランドの路上で出会い、友情関係を育んでいきます。そしてマイクの母親を探すため、アイダホに旅立ちます。

ともに旅をしていく中で、さらに二人の絆は深まっていきます。まるで身分や生い立ちなど関係がないかのように。

しかし、さらに母を追ってローマの農場へと渡った際、スコットはカルミラという女性に出会い、恋に落ちます。スコットはカルミラとアメリカへ帰ることになり、ここでマイクとはお別れに。

ずっと一緒だった親友のスコットを失い、失意に陥るマイク。再び路上で男娼をする生活に戻っていきます。

物語の結末としては、身分の違う二人が決別してしまう結果になります。しかし、作品で描かれた二人が過ごした時間は紛れもない事実であり、それは輝かしい思い出としてマイクの、そしてスコットの心に残り続けることを祈らずにいられません。

最後まで切ないマイクの恋の行方

マイクは、親友のスコットに恋をしていました。しかしお金のやり取りがなければ関係を持たないという意思を持つスコットは、マイクを友人としてしか見ていません。

スコットはマイクにとってとても近しい存在で、ナルコレプシーの持病を支えてくれる人物でもあります。しかしながら、マイクの気持ちはスコットには届かない。最終的にスコットはローマでカルミラという女性と恋に落ち、マイクは別れを告げられてしまいます。

劇中でのマイクという人物の描かれ方は、とても孤独で寂しげです。常に自分を捨てた母親との思い出が頭をよぎり、意思に反して眠ってしまう。まともな生活を送ることすら困難なマイク。

そんなマイクをみている視聴者は、彼を不憫に思い、どうか幸せになって欲しいと願うようになるはずです。そんな彼の一番の理解者であるスコットが、最終的にマイクと決別してしまうというのは、なんとも切ないラストです。

最後まで報われないマイクでしたが、最後のシーンではアイダホで眠り倒れているところを兄に拾われます。今度こそは幸せになってほしいと誰もが思ったことでしょう。

ナルコレプシーに悩むマイクの苦難の日々

度々話しに出ているとおり、マイクには発作的に突然深い眠りに襲われる「ナルコレプシー」の持病があり、ストレスを感じたり、緊張したりすると所構わず眠り込んでしまいます。

この持病のせいで、マイクは日常生活を平穏に送ることすら困難です。

このマイクの持病が、作品のなかではキーとなって働き、しばし場面転換にも使用されます。マイクが眠りにつき、再び起きたときには作品世界が進んでいる…。その繰り返しで物語が進行していくので、観ている側も、夢か現かといった混沌とした状況を余儀なくなれます。

この症状に陥るときのマイクの姿は、非常に印象的です。てんかんのような症状が起こり、地面に倒れ混んでしまうのです。事情を知らないキャラクターたちは、そんなマイクの様子に目を丸くして驚きます。

見どころ

次に、『マイ・プライベート・アイダホ』の見どころを深堀りしていきましょう。

23歳で亡くなったリバーフェニックスの刹那的な眩しさ

この映画の主人公、マイクを演じるのは23歳で亡くなったリバーフェニックス。作品の魅力を高めているのは、このリバーフェニックスの刹那的な眩しさです。

彼が若くして亡くなっていることで、現在映画を観ている人間が若き彼の姿を「刹那的」だと感じるのは否めませんが、それでも彼の繊細な演技はつい見入ってしまうほど。

ストレスを感じると突然眠ってしまう、複雑な生い立ち、路上で体を売る男娼という難しい役所を見事演じきったリバーフェニックス。常に孤独を抱えた警戒心の強い瞳や、神経質そうな所作、どこか心ここに在らずのポーカーフェイス。すべてがどこか痛々しく儚げで、人の心を魅了します。

リバーフェニックスのアドリブが見事な名シーン

この作品の大きな見どころは、なんと言ってもリバーフェニックスのアドリブが光る告白シーン。

マイクの母親を探す旅行中、焚き火をするマイクとスコット。マイクはそこで、スコットに自分の素直な気持ちを打ち明けます。

最初にこのシーンを観たときは、純粋にとても素敵なシーンだと感じました。マイクはとてもシンプルな言葉で、ストレートにスコットに想いを伝えています。このシーンのマイクの表情や言葉から、あまり登場人物の内面を深掘りしない本作で始めて人間の奥底の感情というものを垣間見た気がしたのです。

後に、このシーンがリバーフェニックスのアドリブだと知り、さらに驚愕しました。リバーフェニックスが解釈するマイクという人物が、あまりにもリアルだったからです。リバーフェニックスがどれほどこの作品のマイクというキャラクターに没入していたかが分かる、大名シーンといえるでしょう。

アイダホの美しい風景と意味深なキャラクターたち

タイトルにもあり、度々作中に出てくるアイダホの風景。作品にはポートランドやローマも出てきますが、やはり一際印象的なのがこのアイダホです。

シーン的には初めにマイクが一人で、次にスコットと二人で、最後にまた一人でこのアイダに現れます。

ファーストシーンで、アイダホの長い田舎道に佇むマイクが非常に印象的です。彼がそこで何をしたいのかが全くわからず、途方にくれているようにも、ただ見晴らしの良い場所を楽しんでいるようにも、何も考えていないようにも見えます。

徐々に物語が進むにつれこの時のマイクの心境が分かっていくのも面白いです。

また、アイダホで幻影のように描かれるマイクの行方不明の母親もとても印象深く映りました。アイダホという長閑な場所に不釣り合いな危うさを孕んだ母親の佇まいが、なぜかとても不吉なのです。

そのシーンの意味が分からなくても、作品を細部まで味わうことで理解できるようになるというのが映画の醍醐味です。この作品は詩的で抽象的な表現が多く、難解に感じる方も多いと思いますが、ぜひこういったキャラクターの登場の仕方や意味深な表情の意味などをじっくり考えて楽しんで欲しいです。

『マイ・プライベート・アイダホ』が楽しめる人の特徴

映画『マイ・プライベート・アイダホ』が楽しめる人の特徴は、主に以下などになります。

  • 詩的な作品や表現が好き
  • 映像美を堪能したい
  • アートな映画が好き
  • ロードムービーが好き
  • アメリカの街並みを味わいたい
  • バイクで世界中を旅したい

『マイ・プライベート・アイダホ』が好きな人におすすめの映画

ここでは、映画『マイ・プライベート・アイダホ』が好きな人におすすめな映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!

Summer of 85

フランス映画界の名匠、フランソワ・オゾン監督が影響を受けたエイダン・チェンバーズの小説「おれの墓で踊れ」を映画化。少年たちの人生を変えた、ひと夏の初恋を鮮やかに描きます。主演には、フェリックス・ルフェーブルとバンジャマン・ボワザン。第73回カンヌ国際映画祭、オフィシャルセレクション選出作品。

セーリングを楽むためヨットで沖に出た16歳のアレックス。しかし突然の嵐に見舞われヨットは転覆し、たまたま居合わせた18歳のダヴィドに救出される。2人は出会ってから急速に友情を深め、それはやがて恋愛感情へと発展。アレックスにとって、それは初恋となった。2人はダヴィドの提案で、「どちらかが先に死んだら、残された方がその墓の上で踊る」という誓いを立てる。2人は女友達ケイトが原因で大喧嘩をし、その後ダヴィドは不慮の事故により死亡。2人の時間はあっけなく終わりを迎える。初恋の人を失い生きる希望を失ったアレックスを突き動かしたのは、ダヴィドと交わしたあの誓いだった…。

おすすめポイント

冒頭でも触れたとおり、『Summer of 85』は、『マイ・プライベート・アイダホ』を彷彿とさせる要素が多い印象です。フランスの街並みが美しく、青年二人の濃密で刹那的な関係が眩しく描かれています。

主演のフェリックス・ルフェーブルは、どこかリバーフェニックスに似た面影を持つ青年。『マイ・プライベート・アイダホ』でリバーフェニックスを魅力的に感じた方は、ぜひこちらの作品のフェリックス・ルフェーブルにも注目していただきたいです。

君の名前で僕を呼んで

80年代イタリアを舞台に、17歳と24歳の青年のひと夏の情熱的な恋を描いたラブストーリー。北イタリアの美しい風景も魅力です。アンドレ・アシマンの同名小説が原作。第90回アカデミー賞作品賞ほか、4部門にノミネート。『インターステラー』のティモシー・シャラメと『ソーシャル・ネットワーク』のアーミー・ハマーが主人公で共演。

83年の夏。家族に連れられ北イタリアの避暑地にやって来た17歳のエリオ。エリオはそこで、大学教授をしている父が招いた24歳の大学院生、オリヴァーと出会う。一緒に泳ぎ、自転車で街を散策し、本を読み音楽を聴き、一緒に過ごすうちに、エリオはオリヴァーに特別な想いを抱くようになる。二人はやがて燃えるような恋に落ちるが、夏の終わりとともにオリヴァーはエリオのもとを去っていき……。

おすすめポイント

こちらも刹那的な青年同士の濃密な関係が描かれており、さらに最終的には別れという結末に行き着いています。家族に連れられ北イタリアの避暑地へやってきた17歳のエリオと、婚約者のいるオリヴァー。結ばれることの難しい二人の刹那的な恋愛が、北イタリアの美しい風景とともに描かれます。

ジュテームモワノンプリュ

廃品運搬の仕事をして暮らす恋人同士の青年クラスキーとパドヴァン。ある日二人は立ち寄ったバーで、ボーイッシュな少女、ジョニーと出会う。やがてクラスキーとジョニーの間に恋心が芽生えるが、そんな二人にパトヴァンが嫉妬し…。

主題歌はジェーン・バーキン とセルジュ・ゲンスブールの同名の名曲『Je t’aime moi non plus』。劇中に何度も登場する、非常に切なく印象的な楽曲です。

おすすめポイント

恋愛の多様性も描かれている本作ですが、注目して欲しいのは主人公クラスキーとジョニーのあまりに刹那的な恋愛模様。この世に「刹那的な恋愛映画」は数あれど、これほど切なく健気に描かれているものはあまり観たことがありません。

こちらは、色男のクラスキーとバーで働く女性、ジョニーが刹那的な恋に落ち、最後にクラスキーはパートナーのもとへ戻っていくという展開。短い二人の恋は終わりを告げてしまうのですが、刹那的な恋ほど痛く美しいのかもしれません。私たちは青春映画において、「終わってしまう恋」が好物なのかもしれません。

まとめ

以上、『マイ・プライベート・アイダホ」の見どころや感想をお伝えしました。

詩的なセリフや演出、スタイリッシュな映像、実力派の役者陣と、見どころ目白押しの本作。観賞後は少し干渉に浸ってしまうほど喪失感や虚無感を味わうかもしれませんが、それも込みでぜひ楽しんでください!