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【ネタバレあり】途中退席者が語る映画『TITANE/チタン』の魅力

こんにちは、映画監督志望の田中です!

毎日映画を観ている私が、おすすめ映画の見どころや感想をご紹介します。

本日ご紹介する映画はこちら『TITANE/チタン』。

本作は、『RAW 少女のめざめ』でお馴染み、ジュリア・デュクルノー監督による長編作で、2021年の第74回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した注目作です。

今回は満を辞してこのエキセントリックな名作をご紹介します。

はじめに

・・・するんですが、その前に一つ断っておきたいことがあります。

それは、筆者、この映画最後まで観れておりません。映画館に足を運んだものの、あまりの残虐描写に耐えられずあえなく途中退席したのです。

しかし、あの日から何日経っても、チタンの衝撃が忘れられない…。成就しなかった恋ほど引きずってしまうというように、最後まで観なかった映画ほど未練を感じてしまうのです。この気持ちは一度記事にしなくてはいけない、という使命感のもと、「チタン」の紹介記事執筆を決めた次第です。

「最後まで観ていない人間の紹介記事なんて読めるか!」という真っ当な方は、ぜひ爽快にブラウザバックしてください。途中退席者のレビューでも構わないという方は、読み進めて頂けたらと思います。

途中退席の経緯

では、まずは途中退席の経緯をお話しさせてください。

いつも前情報なしで映画を観にいく私ですが、ホラーやグロテスクな映画は苦手で、ポスターで判断し鑑賞を見送ったりすることもしばしば。しかし、チタンのポスターはぱっと見スタイリッシュでおしゃれ。さらにはフランス映画ということもあり、どこかアンニュイな雰囲気の作品だと勘違いしてしまったのです。

意気揚々と映画館へ赴いた私は、開始数分で凍りつきます。

「ああこれは、ちょっとだめかもしれない」

序盤の残虐シーンの応酬に、完全に心が折れた筆者。吐き気が抑えられなくなったあたりで、いそいそとスクリーンを後にしました。

ちなみに、映画館で途中退席したのはこれが初めてでした。

チタンの衝撃が忘れられない

しばらく平穏な日常を過ごしていた私ですが、いつも心の片隅にチタンの衝撃の欠片があるのです。

「いったい、あの体験はなんだったのだろう」

と過ぎ去った嵐を回想するような心持ちに。何日もチタンの余韻が続くので、我慢ならなくなりネタバレサイトを閲覧。退席した後の展開を確認してみたのです。

そのサイトではラストシーンまでのあらすじを丁寧に描写してありました。そのあらすじを読みながら、自分が映画館のスクリーンで観るはずだった映像を想像してみると、更なる衝撃が走ったのです。

それは、主人公アレクシアの残虐性が際立てば際立つほど、ラストで宿る生命の輝きが増していくということ。ぞくぞくと鳥肌が立ちました。

……ホラーや残虐描写が苦手な映画好きは、名作のラストシーンを見届けることができないこともあります。今回もそうでした。

しかし、そんな映画好きにも途中退席した作品の魅力を語らせていただきたいのです。最後まで見れていなくても、想像することはできるのです。そしてやはり最後まで見れていなくとも、映画が好きで、魅力を語りたいのです。

「チタン」も、ぜひ魅力を語りたいと思う作品だったので、今回は記事にさせていただくこととしました。

概要

『RAW 少女のめざめ』で注目を集めたフランスのジュリア・デュクルノー監督長編第2作目。

頭にチタンプレートを埋め込まれた主人公、アレクシアがたどる数奇な運命を描いた。2021年・第74回カンヌ国際映画祭では最高賞であるパルムドールに輝いた。

主人公アレクシア役は、映画初主演でモデル・ジャーナリストのアガト・ルセル。ヴィンセント役に『ティエリー・トグルドーの憂鬱』のバンサン・ランドンが起用された。

あらすじ

幼少時に交通事故にあい、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれた主人公のアレクシア。それ以来、アレクシアは車に対し異常な執着心を抱くようになり、次第に危険な衝動に駆られていく。

人を殺すことに躊躇がないアレクシアは、自身の犯した罪によって行き場を失う。その後、アレクシアは消防士のヴィンセントと出会う。ヴィンセントは、10年前に息子が行方不明になり、現在はひとりで孤独に暮らしていた。アレクシアとヴィンセントは奇妙な共同生活を始めることになるが、アレクシアの体にはある重大な秘密があった…。

途中退席者が思う『TITANE/チタン』の魅力とは

では、途中退席者である私が思う、チタンという映画の魅力を語っていきたいと思います。

※重ね重ねになりますが、筆者は本作を最後まで観れていません。そのため、想像で語らざるを得ない部分が多々あります。その点ご了承ください。

斬新でショッキングな設定

この作品の魅力は、なんといってもそのエキセントリックな設定。

頭にチタンプレートを埋め込まれた主人公アレクシア。彼女は人の痛みに鈍感で、殺すことも厭わない。そして車へ異常な執着を示し、最終的には車との間に子供を宿すまでになります。

なかなかにショッキングでありながら官能的でもあり、引力のある魅力的な設定だと思います。

「怖いもの見たさ」という言葉があります。

まさにこの作品は、そういった、目を背けたくなるのにどうしても見たい、という人びとの恐怖心と好奇心を同時に刺激する人物設定に成功していると感じました。

実際、ショッキングなシーンを目の当たりにして途中退席したにも関わらず、チタンという作品のことを忘れられない私がいることが何よりの証拠でしょう。

起きる出来事に身を委ねる快感

この作品は、ある種アトラクションのような楽しみ方ができるともいえます。

遊園地のお化け屋敷やジェットコースターのように、起こる出来事に身を委ねることで快感が味わえるようなコンテンツ。そういった見方をすれば、一つのエンターテイメントとして非常に魅力的に感じる人も多いのではないでしょうか。

本作は、思いもよらないような、もしくは悪い予感のさらに斜め上をいくような、ショッキングな出来事が次々に起こっていきます。一つひとつに足を取られていては、置いていかれてしまいます。どうしてアレクシアがこの人を殺したのか、家を放火する意味があったのか、そういったことを考えて見ていくよりは、アトラクションに乗っているような感覚で楽しむほうがもしかしたら有意義かもしれません。

ジェットコースターに乗るとき、はじめはドキドキとワクワクが入り混じった感覚になるのではないでしょうか。出発し、落下したり、180度に回ったり、一通り振り回されます。そして最後は終着点に無事辿り着き、安堵する。

この「チタン」も、そのようなアトラクション性のある作品に感じます。途中退席した私にとって、あのラストシーンを見届けられたすべての人が羨ましくてたまりません。

アレクシアの狂気と生命の輝き

前述した通り、アレクシアは純粋なる狂気に塗れた人物です。

アレクシアは人の痛みに鈍感であり、躊躇なく殺人を犯します。アレクシアに感情移入できる瞬間はなく、常に何をしでかすか分からず、恐ろしい人物として恐怖の視線を向ける(時に背ける)ことになります。

アレクシアと生活を共にするヴィンセントも、次第にアレクシアの残虐性に恐れ慄くようになるようなのです。想像はつきます。

そんな中、ラスト、アレクシアは自身と車との間の子供も産みます。その子供がどのような容姿なのかはなかなか想像がつきませんが、アレクシアは子供生み、絶命するようです。そして残された生命を抱いたヴィンセントは、涙を流す…。このようなラストシーンが用意されているようです。

ヴィンセントの涙。その意味を想像すると、なんとも胸が熱くなるような不思議な感覚に襲われました。

アレクシアの残虐性が際立てば際立つほど、ラストで宿る生命の輝きが増していくということ。これが、この作品の大きな魅力なのではないかと感じるのです。多くの人間を殺したアレクシア。純粋に車を愛したアレクシア。そして苦しみながら絶命し、子を宿したアレクシア。

殺人鬼のようなアレクシアが産んだその子供は、間違いなく生命なのでしょう。そこには希望が満ちている。母親の多くの罪が、その生命の輝きを強くしているとまで感じてしまうのです。

人間は映画にある種「生命の輝き」の瞬間を求めているように感じます。誰しもがというわけではありませんし必ずといったこともないのですが、そういう目的でついつい映画を観てしまう人がいるのは確かだと思うのです。

では、どのようなシーンで生命の輝きを感じるのでしょうか。規範に抗う姿。純粋に人を愛する姿。自分の欲求にどこまでも正直に生きる姿。そして生命が誕生したその瞬間。

エキセントリックで人を選ぶこの作品は、真摯に生命の輝きを描いた人々の印象に強く残る名作なのではないかと感じました。

そう。「最高」と喝采する者にとっても、「観なければよかった」と嫌悪するも者にとっても、強い印象を与えたことでしょう。それは、無意識だとしても自覚的だとしても、生命の恐ろしいほどの輝きを目にしたからなのかもしれません。

作品を観た人の感想

では、「チタン」を実際に観た人の主な感想をかいつまんでご紹介します。

  • 狂っている
  • 終始痛みと不快感、しかしそれでも造形的に作品として成立していた
  • 途中まで何が起こっているかわからなかった
  • 愛の物語だと感じた
  • もう2度と観たくない
  • グロテスクな描写が多く苦手だった
  • 痛々しいシーンは多かったが見れないというほどではなかった
  • 予想がつかない展開で飽きずに観られた
  • とんでもない傑作を目にした
  • 芸術点が高い作品だった
  • かっこいいし、切ない
  • 音楽が良かった。特にダンスのシーン
  • 最後は上下に揺さぶりつつ一気に下降するジェットコースター映画

思った通り、映画レビューの中でも指折りで賛否両論別れる感想でした。客観的に見て、残虐描写に耐えられない人はまず作品のレビューうんぬんではなく、耐えられる人であっても「何が起こっているのか分からない」人にとってはそれこそジェットコースターに乗った感覚になり、そしてシーンの展開に愛や深い意味を感じた人にとっては印象深いものになった、というところではないでしょうか。

チタンが楽しめる人の特徴

次に、映画『チタン』が楽しめる人の主な特徴を挙げさせていただきます。

  • グロテスクな描写に耐性がある
  • 残虐描写のある映画が観れる、好き
  • SF映画や少し変わった設定の映画が好き
  • 芸術性の高い映画が好き
  • 展開があり飽きない映画が観たい
  • 映画に刺激を求めている

何度も述べているとおり、この作品は残虐描写が多いです。耐性のない方は、鑑賞に注意が必要でしょう。また、設定が独特でエキセントリックなので、現実離れした展開が受け入れられる人は展開についていけないということはないと感じます。むしろ楽しんで鑑賞できるかもしれません。

まとめ

以上、『TITANE/チタン』の魅力を語らせていただきました。

途中退席した映画の感想を書くのははじめてでしたが、途中退席したにも関わらず感想を書きたいと思うなんて只事ではないと感じ、書かせていただきました。

そして書いてみて、とても楽しかったんです。憶測しかできない部分が多かったですが、残虐描写に耐性のある自分だったら、きっとこういうシーンにグッと来たんだろうなと想像しながら書くことができました。本当に楽しかったです。

チタンは、おそらくこれまでの映画人生でも上位に入る印象的な映画でした。叶うならば、いつか最後のシーンまで鑑賞、完走できたらなと思っております。きっと最後までシーンを観たら、もっとこの作品が好きになれる予感がするのです。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!