こんにちは、映画監督志望の田中です。
毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画の感想や見どころをご紹介します。
本日紹介するのは、2022年公開の新作映画『トップガン マーヴェリック』。世界的なヒット作『トップガン』の36年ぶりの続編ということで、非常に注目度の高い作品です。
筆者は『トップガン マーヴェリック』観賞後、前作『トップガン』を観てさらにもう一度本作を観直しました。エンターテイメント性の凄まじい文句なしの傑作だと思いました。前作オマージュがふんだんに盛り込まれているため、前作を予習しておくとなお楽しめるでしょう。
※ネタバレ含みます
目次
概要
トム・クルーズをスターダムに押し上げた、1986年公開の世界的ヒット作『トップガン』の続編作品。主人公マーヴェリックをトム・クルーズが再び演じ、『セッション』のマイルズ・テラー、『ビューティフル・マインド』のジェニファー・コネリー、『アポロ13』のエド・ハリスが共演。さらに、前作でマーヴェリックのライバルであるアイスマンを演じたヴァル・キルマーも再出演を果たす。『オブリビオン』のジョセフ・コジンスキーが監督を務める。『ミッション：インポッシブル』シリーズの監督や、『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家クリストファー・マッカリーが脚本に参加した。
あらすじ
アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校「トップガン」に、伝説のパイロットマーヴェリック（トム・クルーズ）が教官として帰ってきた。空の厳しさと美しさを誰よりも知っているマーヴェリックは、守ることの難しさ・戦うことの厳しさを訓練生たちに教える。しかし、彼らはそんなマーヴェリックの型破りな指導に戸惑い、時には反発する。訓練生の中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子であるルースターの姿もあった。ルースターは過去の因果からマーヴェリックを恨み、彼と対峙するが……。
感想
まずは『トップガン・マーヴェリック』を観た感想をお伝えします。
王道なストーリー展開に痺れる！
本作を鑑賞してまず思ったことは、気持ち良いほどの王道展開だったということ。エンターテイメント性が抜群の作品で、ストーリーが分かりやすく簡潔。飛行戦シーンなど、迫力のある空の映像を際立たせるための工夫がこれでもかと凝らされていて、多くの人が満足感を得られる映画に仕上がっていると思いました。
「これぞアメリカ」「これぞハリウッド映画」と感じさせてくれる作品は、実は長らく観れていなかったかもしれません。久しぶりにポップコーンを片手に、映画館で無我夢中で楽しめることができ、圧倒的な没入観に浸れることができました。
分かりやすさはストリー展開だけでなく、演出も然り。「ここが盛り上がるところですよ」「ここが見せ場です」というのを、嫌味なく自然と提示してくれるので、ある意味では頭を空っぽにして楽しめる気軽さがあります。
「ワクワク・ドキドキ・ハラハラ」を兼ね備えた最高のエンターテイメント作品でした。一言で言うと最高！
ふんだんに盛り込まれた前作オマージュ
前作『トップガン』を観ている人なら分かりますが、本作は前作のオマージュがふんだんに盛り込まれています。酒場で訓練性が教官に出会う展開や、マーヴェリックがバイクで疾走するシーン、ビーチボールに興じる訓練生。そして間に挟まれるマーヴェリックの恋模様…。あげればキリがないほどです。
そのため、前作のファンは間違いなく楽しめるはずです。
しかしこの作品のすごい点は、前作未視聴の人も置いてけぼりにしないところ。筆者ははじめ、前作未視聴で本作を鑑賞したのですが、それでも「あれ？ このシーンなんだろう」と思わせることなく自然とオマージュを入れ込んでいるんです。
また、前作から引き継がれている設定や人物についても、程よく説明してくれているので、そこまで引っかかることなく観ていくことができます。
もちろん前作を観ていた方が、マーヴェリックとアイスマンの再会や、相棒だったグースの息子ルースターとの確執や和解を感動的に捉えることができるので、ぜひ前作を予習してから本作を観ていただきたいです。
リアルを追及した迫力満点の空中飛行シーン
なんといっても、空中戦の迫力は凄まじかったです。前作でも定評のあった空中シーンですが、今作は現代の技術を駆使し、さらに進化したリアルなアクションを魅せてくれます。
現実的な空中戦を追及するため、訓練生役の出演者全員がフライト訓練のプログラムを受け、本当のパイロット演技ができるようしたという徹底ぶり。その血も滲むような努力が伺える迫力でした。
操縦する際にパイロットにかかる負荷（G）が実際にかかっているため、劇中で見られる操縦者たちの辛そうな表情や息遣いも本物。そのため迫真の飛行シーンでは、観客が固唾を飲んでスクリーンを見つめていました。私もその一人で、一人ひとりの操縦者の息遣いがとてもリアルで辛そうで、自分まで息苦しくなってしまったほどです。こういった映像体験はなかなかできないもので、ぜひ映画館で味わっていただきたいです。
見どころ
次に、『トップガン・マーヴェリック』の見どころや魅力を深掘りしていきましょう。
トムクルーズに一挙手一投足を見逃すな
作品を魅力的にさせている多いな要因が、そう、トム・クルーズ。彼がいなければこの作品は成り立っていないと言えるほどの存在感でした。
トム・クルーズが映っているどの場面も目を逸らせませんでした。じっと相手を見つめる熱い視線や、葛藤する横顔。白い歯が輝く爽やかな笑顔。バイクで颯爽と駆ける後ろ姿。どんなトム・クルーズも洗練されていて、一切の隙がないように感じました。
よくアイドルなどの界隈で「表情管理」という言葉が使われます。ステージ中の抜け目ない姿と表情を目にし、ファンが「表情管理が完璧」と評したりしますが、それで言うとトム・クルーズの表情管理はまさに完璧そのもの。「映えていない」表情がひとつもないのです。
というわけで、本作の魅力はトム・クルーズ。彼の完成された抜け目ない表情や所作に酔いしれましょう。
過去と現在の相違点
大きな見どころとしては、前作と違う点。前作の公開は1986 年。そこから36年が経ち、もちろん本作は「現在」を描いています。どういったストーリー展開や登場キャラクターが前作と違うのかを考えながら観るだけでも、非常に楽しめる作りになっていると思います。
青春ドラマから本格スカイアクションに
たとえば前作は、教官チャーリーとマーヴェリックの恋模様に焦点が当たる場面が多く、どちらかというと青春ドラマの側面が強い印象でした。それに比べると本作は、スカイアクションに多くの比率が割かれており、エンターテイメント性はぐっと増しているように感じました。
女性パイロットの登場
また、本作には、女性パイロット「フェニックス」が登場しています。旧作に女性訓練生は登場していません。女性パイロットによる戦闘参加が許可されたのは、1993年以降とされているようです。そのため、続編、つまり「現在」を描くにあたり、女性パイロットの参加を描写したことは、大きな意味を持っているのではないでしょうか。
「F-18」と「F-14」が採用
さらに今作戦では、戦闘機として「F-18」と「F-14」が採用されています。劇中終盤で、F-14に乗ったルースターが「古代の遺産」だと戸惑っていたように、2つの機体には、10年の開きがあります。そのうえ、「ならず者国家」と表される敵の戦闘機（第5世代）は、さらに20年以上あとの機体です。そのなかで「勝敗はパイロットの腕による」というルースターの言葉どおり、機体に関わらず変わらないマーヴェリックの技術は、AI化の進んでいく現代の人間の立ち位置を表しているように感じます。劇中、AIに取って変わられる未来を指摘されたマーヴェリックの、「しかし今日じゃない」と返答がとても印象的でした。
アイスマンが最高司令官に
アイスマンのことも触れておかなくてはいけません。前作でマーヴェリックの好敵手だった、冷静沈着な男アイスマン。本作では、彼が最高司令官になっています。マーヴェリックをトップガンの教官に任命したのもアイスマンです。あの頃は衝突し合っていた二人の、長年かけた築きあげた深い絆を感じることができるエピソードです。アイスマンは、演じたヴァル・キルマーと同じく喉頭がんを患っており、うまく言葉が話せず、絞り出すような声でマーヴェリックと言葉を交わします。マーヴェリックとアイスマンの熱い抱擁は、前作ファンなら誰しも心震えるものだったのではないでしょうか。
ペニー・ベンジャミンは前作にも出ていた？
本作で、マーヴェリックと恋に落ちたのは、バーのオーナーであるシングルマザーのペニー・ベンジャミン。
前作では、教官であるチャーリーと恋をしていたマーヴェリックですが、本作は新たな女性とのロマンスが描かれています。
ところでこのペニーという女性、前作を観ていた方でもピンとこなかった人が多いようです。ペニーは一応、前作にも名前のみ登場しています。前作『トップガン』の冒頭、マーヴェリックと相棒のグースが上官に呼び出されているシーン。ここで上官はマーヴェリックに「管制塔をかすめ飛ぶこと５回。さらに低空飛行で脅かした相手が司令官のお嬢さんときた」と叱咤します。それに対しグースは「ペニーか？」とマーヴェリックに囁いています。
また、グースの妻であるキャロルも、マーヴェリックとペニー・ベンジャミンの恋愛を示唆する発言をしています。
というわけで、今作でマーヴェリックと恋仲になったペニーは、前作でも触れられていたということになります。
それにしても、前作から36年、妙齢となったマーヴェリックですが、恋においては現役。本作で、美貌のペニーと高校生のような甘酸っぱい恋模様が描かれているので、そちらも必見です。
戦友の死をどう乗り越える？
前作で描かれていた「戦友の死」への葛藤が、本作でも描かれています。マーヴェリックは前作、訓練飛行中に相棒のグースを失くします。その出来事は、確実にマーヴェリックの心に影を落とし続けていました。
そして本作、グースの息子であるルースターが訓練生としてマーヴェリックの前に現れます。そこでマーヴェリックは、嫌でもグースの死という現実に直面し、グースの息子と対峙しなくてはいけなくなります。
アイスマンとの対話で、「過去は水に流せ」と言われ取り乱し目を潤ませているマーヴェリックからも、彼がどれだけグースの死に負い目と責任を感じているのかが分かります。
本作、マーヴェリックはルースターと共にミッションを遂行します。二人の中にある確執がどのように収束していくのか、非常に大きな見どころといえるでしょう。
前作『トップガン』のポイント
前作『トップガン』が気になった方は、ぜひ下記のポイントを参考にして観てみてください。
- ライバルアイスマンとの友情関係
- 教官チャーリーとの恋模様
- 相棒グースを失ったマーヴェリックの葛藤
- 若きマーヴェリックの無鉄砲さと尖り
- 酒場で「Great Balls of Fire」を歌うマーヴェリックとグース
- マーヴェリックの天才的な空中戦
『トップガン マーヴェリック』が楽しめる人の特徴
映画『トップガン マーヴェリック』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。
- 前作『トップガン』が好きな人
- 王道展開のストーリーが好き
- アクション映画が好き
- スカイアクションに痺れる！
- 頭を空っぽにして映画を楽しみたい
- ドキドキ・ハラハラしたい！
- 映画館で映画を観たい
- ポップコーン片手に映画を楽しみたい
まとめ
以上、『トップガン マーヴェリック』の感想や見どころをお伝えしました。
私は前作『トップガン』が公開された頃はまだ生まれていなく、今回の『トップガン マーヴェリック』で初めて本シリーズの存在を知りました。きっと前作を観ている人も、観ていない人もいます。しかし間違いなく言えることは、本作を観た人は、漏れなく全員前作を観たくなってしまうでしょう、ということ。
圧倒的なエンターテイメントに触れ、ポップに映画に触れる楽しさを再確認できました。本当に最高の映画でした！
最後までお読みいただきありがとうございました！
