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アニメ『少女革命ウテナ』の魅力を解説!王子様不在の現実をどう生きるか?【世界を革命せよ】

こんにちは、映画監督志望の田中です。

突然ですが皆さん、アニメ『少女革命ウテナ』をご存知でしょうか。

私がこのアニメを初めて観たのは、まだ夢見る少女だった頃でした。いつか王子様が自分の元に現れ、幸せな生活を送ることができると本気で信じていた頃です。その頃、ただ「美少女が剣で戦う耽美なロマンスストーリー」だと思って興味を惹かれ私は、この作品の全貌を目の当たりにして衝撃を受けます。

それは、この作品の主題は「王子様不在の現実をどう生きるか」ということだったからです。

よくよく考えたら初めから不思議に思うべきでした。どうしてうら若き少女が男装をして、王子様になることを夢見ていたのでしょうか。そしてどうして少女が王子様のような姿をした男性と剣で戦わなければならないのでしょう。

今日はそんな、筆者の人生に多大なる影響を与えたアニメ版『少女革命ウテナ』について解説していきます。

※ネタバレ含みます

概要

『美少女戦士セーラームーン』シリーズのメインスタッフであった幾原邦彦が、少数精鋭のスタッフを集め制作集団「ビーパパス」を結成。少女漫画家のさいとうちほとタッグを組んだ異色作。第2回アニメーション神戸テレビ番組の部、最優秀賞を受賞。

男装の麗人、書き割りのような背景、影絵少女達による不可思議な劇中劇。宝塚歌劇や寺山修司の前衛舞台劇をオマージュしたような独特でシュールな演出が特徴的な本作。学園という閉鎖世界、薔薇や王子様などの少女漫画的モチーフを中心にして、おとぎ話や古の貴族の決闘、同性愛・近親愛まで多岐にわたる要素を内包している。劇中で流れる「絶対運命黙示録」などの楽曲は、かつて寺山修司率いる「天井桟敷」にて音楽を担当していたJ・A・シーザーが担当しており、これも本作の独特な世界観を作り上げる要因の一つ。

また、押井守監督の長編アニメーション『天使のたまご』を彷彿とさせるフレーズが作中で見られ、第27話「七実の卵」では影響が顕著に表れている。そのほか、作中で繰り返される「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく」などの台詞は、ヘッセ著「デミアン」からの引用である。

『少女革命ウテナ』の配信状況

2023年6月16日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。

サービス名 視聴状況 初回お試し
U-NEXT 丸

見放題

お試し登録

31日間無料

Hulu 丸

見放題

お試し登録

無料体験なし

プライム・ビデオ 丸

見放題

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30日間無料

DMM TV 丸

見放題

お試し登録

30日間無料

Netflix バツ

配信なし

会員登録

無料体験なし

ABEMA バツ

配信なし

お試し登録

2週間無料

TELASA バツ

配信なし

お試し登録

2週間無料

あらすじ

幼い頃自分を助けてくれた旅の王子様に憧れ、自分自身も王子様になりたいと願うようになった主人公の少女、天上ウテナ。彼女は入学した鳳学園で、「薔薇の花嫁」と呼ばれる謎の少女、姫宮アンシーと出会う。決闘に勝利し、エンゲージした者に「永遠」に至るための「世界を革命する力」を与えるという「薔薇の花嫁」。アンシーをかけて決闘を続ける生徒会役員、もといデュエリストたちは、ウテナがかつて旅の王子様から貰った指輪と同じ「薔薇の刻印」と称される指輪を所持していた。ウテナもこの学園内の壮大な決闘ゲームに巻き込まれ、その背後にある謎、「世界の果て」へと迫っていくが…。

1〜13話「生徒会編」、14〜24話「黒薔薇編」、25〜33話「鳳暁生編」、34〜39話「黙示録編」で構成されている。

『少女革命ウテナ』の見どころや魅力

『少女革命ウテナ』、作品通しての感想や見どころ、魅力を述べていきます。

王子様不在の現実をどう生きるか

冒頭で述べたように、本作は少女たちが「王子様不在」である現実世界をどう生きていくかというテーマに大きな焦点が当てられています。

劇中で登場する男性たちは、美しく、一見魅力的に見えるキャラクターばかりです。しかし、実際は複数の女性と関係を持っていたり、支配欲に任せて相手を束縛しようとしたり、少女たちが思い描く「王子様」とは程遠い人物ばかりだということがあります。

ここで浮かび上がる問題は、少女漫画やロマンスストーリーで培われた「王子様幻想」に囚われた少女たちが、現実世界に王子様はいないことを受け止め、そのうえでどう生きていくかということだけに留まりません。少女たちの都合で「王子様」の期待を背負わされた男性たちの苦悩にも言及されているのです。

王子様の役割を背負わされてしまった男性たちの苦悩は後述するとして、ここでは、王子様不在の現実を知ってしまった少女たちがどう生きていくかというテーマについて述べさせていただきます。

少女が王子様幻想から醒めたら

ウテナは、幼い頃に自分を助けてくれた旅の王子様に憧れ、彼にもう一度会いたいと願っている少女です。そんなウテナは、ある日、自分の通う鳳学園の理事長、鳳暁生があの時の旅の王子だと気づきます。しかしウテナが憧れ続けた王子には、すでに婚約者がいました。それでも大人の色香で自分を誘惑する暁生を、ウテナは拒むことができませんでした。暁生は、婚約者がいながらウテナを誘惑しただけでなく、妹のアンシーとも関係を持っていました。

そこまで分かってやっと、いや本当は初めから、ウテナは気づいていたのです。鳳暁生はもはや自分が憧れた王子様なんかではない、ということを。このストーリー展開はまさに、少女が王子様幻想から醒めてしまった瞬間を表現しているといえるでしょう。

そして、少女たちは、お姫様にはなれず、ただの少女であることを知ります。

では、ウテナやアンシーのように、王子様不在の現実を知ってしまった少女は、その後どうやって生きるのでしょうか。そうです、ここで重要になるのが「世界を革命する力」なのです。

「世界を革命する」とはなにか

作中で、生徒会のメンバーたちが合言葉のように繰り返し口にしていた言葉があります。

それはヘッセ『デミアン』から引用された下記の一節です。

「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らは雛だ、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ、世界を革命するために」

これは、卵の殻を破り、今いる世界から脱出することで、革命が行われるという意味と捉えることができるでしょう。そして作中で、世界を革命できるかもしれない者として、主人公ウテナが浮上してくるのです。

作中、ウテナは女性でありながら男性用の制服を着用し、男性のような口調で振る舞います。それは校則違反であり、少女が少女らしく振る舞うことを良しとする世間の期待に背くことでもあります。

しかし、誰に何と言われようがウテナ自分のポリシーに基づき行動し続けました。そんなウテナには「規範に抗う者の持つ輝き」があります。

本作の「世界を革命せよ」という言葉には、「規範に囲まれた、自分を縛っているこの世界から羽ばたけ」というメッセージが込められているのではないでしょうか。

王子様幻想から醒めたウテナは、この「世界を革命する力」を持って、自分やアンシーを縛りつける王子様のなれ果て、鳳暁生に打ち勝とうとします。そしてこの力は、まさに王子様幻想に囚われていた自分自身の心に打ち勝つ力でもあります。

少女たちは、自分の力で生きていく術を知ろうとする。誰かの助けを借りず、自分自身で世界を掴み取ろうとする。そんな時こそ、革命なんていうものが起きるのではないでしょうか。

「女性の役割」を考える

本作では、女性が女性としての役割を演じることを強いる世の中に対するアンチテーゼのようなメッセージが込められています。

それはもちろん、男装をするウテナへの周囲の大人の目からも伺えますが、ヒロイン姫宮アンシーの境遇を考えるとさらに分かりやすいでしょう。

アンシーは、「薔薇の花嫁」として、決闘の戦利品として、商品として扱われます。決闘の勝利者は、アンシーを思いのままにすることができるというのです。これはまるで、しばしばホモソーシャルな空間で起きる、女性を「装飾品」のように扱う現実世界の風潮の縮図のようです。

女性たちが男性に「王子様」の役割を期待するように、男性たちも女性に「花嫁」の役割を期待する。

『少女革命ウテナ』は、こうして役割を背負わされた登場人物たちの、役割からの脱却の物語ともいえるでしょう。役割は、「規範」といった言葉でも置き換えられるでしょう。

私たちは生まれながらに役割を背負わされている。しかし、その役割に従って生きることが、正しいことなのでしょうか。規範に抗うときに生まれる「生命の熱」、それが本作で表現したかったことにほかならないと感じます。

耽美さに隠された現実的な寓話

本作の絵柄は、少女漫画然とした非常に華やかで耽美なもの。長い睫毛や大きな瞳は、『ガラスの仮面』『ベルサイユのばら』などに代表される70年代の少女漫画を連想させます。

しかし実際、その耽美な世界観の裏に、非常に現実的で生々しい寓話が存在している。美しい少女が、白馬に乗った王子様に恋をするロマンスストーリーのように見えて、実はそうした少女漫画構造への再解釈を求めている。それがこの作品の面白く、見応えがある部分でしょう。

さらにその寓話的な表現は、明らかに現実世界での少女たちの問題を提示しているにも関わらず、あくまで寓話的なまま、リアリティを欠如したままに表現されているというのも『ウテナ』ならではの表現でしょう。

赤裸々な王子様の苦悩

最後に、少女に期待された「王子様」の苦悩を語ってこの章を終わりましょう。

前述のとおり、本作の非常に印象的な部分は、「王子様不在」の世の中を、王子様視点からも描いているということです。

作中でかつてウテナと出会った「王子様」とされている人物、鳳暁生に焦点を当ててみましょう。

彼は、本作で少女たちを救う「王子様」、そして少女たちを惑わす黒幕としての役割を担っています。優雅で知性があり、女性の扱いも慣れている。一見とても魅力的で曲者なキャラクターですが、彼は作中随一の哀れな人物でもあります。

かつて王子だった暁生は、少女から「王子様」の理想を押し付けられ、求められ続ける苦悩を嘆いています。そうした純粋な少女たちの「期待」はある種暴力のように暁生を苦しめ、最終的に彼は王子のなれ果てになってしまった。

ある視点から見たら暁生は完全なる物語の黒幕ですが、また別の視点から見れば、暁生は王子様幻想に囚われ続けた少女たちの被害者でもあるのです。

「君たちは君たちで、お姫様でいることを強いられて大変かもしれない。でも、王子様を背負わされた僕だって大変なんだ」暁生の言い分としては、そんなところでしょうか。

誰かに何らかの役割を背負わせる、もしくは期待しすぎてしまうこと。これが無意識下に行われているのが世の中である。

こうした自分を縛りつける見えない鎖から放たれ脱却できたとき、あなたはもっと輝ける。『ウテナ』は、そんなメッセージを、縛られ続けている私たちに伝えているのではないでしょうか。

『少女革命ウテナ』が楽しめる人の特徴

アニメ『少女革命ウテナ』が楽しめる人主な特徴は、下記のとおりです。

  • 少女漫画の王道展開に疑問を抱いている
  • 王子様はいないと感じている
  • 殻を破り、自分らしく生きたい
  • 周囲の制約や役割の押し付けを感じる
  • 豪華絢爛で耽美な宝塚のような作品が好き
  • 美しいキャラクターが多く登場する作品が好き
  • 少女のバトル物が好き
  • スポ根、熱血といったワードに惹かれる
  • 前衛的な作品が好き

『少女革命ウテナ』が好きな人のおすすめの作品

ここでは、アニメ『少女革命ウテナ』が好きな人におすすめの作品をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!

輪るピングドラム

『少女革命ウテナ』の幾原邦彦が「家族」をテーマに監督・脚本を務めたオリジナルアニメ作品。

ストーリーは、子供たち3人で暮らす高倉家を中心に進んでいきます。双子の兄、冠葉と晶馬は病弱な妹・陽鞠と幸せに暮らしていた。陽鞠の体調も良いある日、3人は水族館へ出かける。兄たちが目を放した隙に、陽鞠が行方不明に。その後、兄たちが目にしたのは人垣の中で倒れている陽鞠であった。悲嘆に暮れる兄弟だったが、突然、水族館で買ったペンギンの帽子を被った姿で「生存戦略!」と叫び陽毬は蘇生した。ペンギン帽を被っている間、陽毬は、別人格「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」に変わる状態になっていたのだ。そしてプリンセスは、陽毬を助けたければ、「ピングドラム」を手に入れろと兄弟に命じる……。

おすすめポイント

この作品は、『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』と同様の幾原邦彦が監督したアニメです。

独特なセリフ回しやスピード感のあるストーリー展開、シュールで現実離れした演出、そして寓話に隠れた深いテーマ性。『少女革命ウテナ』が好きな人は楽しめること間違いなしな作品です。

明かされない過去や、目的のためのミッション、息もつかせぬジェットコースターのようなストーリー展開など、見どころがつまった作品です。ぜひ、試しに1話を観てみてください!

御先祖様万々歳

1989年5月〜1990年1月にかけリリースされた、スタジオぴえろ制作のOVA作品。

原作・脚本・監督に押井守。舞台演劇然とした演出をアニメに持ち込んだ斬新な演出が特徴。登場人物が過剰に饒舌な独特な台詞を話す。「立喰いそば」「犬」「大洗海水浴場」といった、ほかの押井作品でも見られる題材・ネタも随所に含まれる作品です。

おすすめポイント

『御先祖様万々歳』は、『少女革命ウテナ』の幾原邦彦監督が影響を受けたと公言しているアニメ作品です。『少女革命ウテナ』で見られる独特なセリフ回しや現実でありながら現実離れした劇調な演出などがふんだんに盛り込まれており、やはりクセになる作品です。ぜひチェックしてみてください!

天使のたまご

『天使のたまご』は、1985年に制作されOVA作品です。原案・監督・脚本は押井守。発売元は徳間書店、DVD版は2001年にパイオニアLDCから販売。2007年1月、徳間書店よりDVD版再発しています。

ノアの方舟が陸地を見つけられなかったもう1つの世界を描く。巨大な眼球を持ち、なかに複数の人型の彫像が鎮座する機械仕掛けの奇妙な太陽が海に沈むと、世界は夜を迎える。舞台は方舟のなかの動物がすべて化石になったころの忘れ去られた街。

一人の少年と、一人の孤独な少女が出会う…。

おすすめポイント

この作品も、前述したように幾原邦彦さんが影響を受けたのではないかと言われているアニメです。

セリフがほとんどなく、喪失感のある静かな街で淡々と進んでいくストーリーが逆に斬新な本作。難解ではあるものの、観た人を魅了させる独特の不気味さがあります。幾原邦彦作品や押井守作品が好きな人は、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

最後に、ウテナとアンシーは革命できたのでしょうか。

最終話「いつか一緒に輝いて」で、アンシーを救おうとしたウテナは、結局身代わりになって一万本の矢を受け奈落へと突き落とされてしまいます。ウテナ王子様にはなれず、革命は果たされなかったように表現されています。ウテナ的な表現をすれば、「雛鳥は卵の殻を破ったが、生まれることなく死んでしまった」といったところでしょう。

アニメの最終話で、どこか消化不良、釈然としない思いを抱えてしまった方もいるもかもしれません。それもそのはず、視聴者は皆ウテナが革命を果たす瞬間に期待していたはずです。

しかし『ウテナ』はアニメ版で終わりではありません。その後、劇場版『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』が制作されました。こちらは、アニメ版のキャラクターが、別設定で再度出演しており、ある意味パラレルワールドのような世界になっています。

ウテナとアンシーの革命を最後まで見届けたい方は、こちらの劇場版をご覧になってみてはいかがでしょうか。きっとまた、ウテナとアンシーに強く生きるヒントを、そして勇気をもらえるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました!