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映画『夜明け告げるルーのうた』の見どころや感想を紹介!好きなものを好きと言える大切さ【ネタバレあり】

こんにちは、映画監督志望の田中です!

毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画の感想や見どころをご紹介します。

本日紹介するのは、『夜明け告げるルーのうた』。

現在公開中のミュージカルアニメ『犬王』を手がけた湯浅政明監督の完全オリジナル長編映画です。

音楽と映像の融合が巧みな湯浅監督ですが、本作では斉藤和義さんの名曲「歌うたいのバラッド」を起用していることでも有名です。

水の描写も綺麗で、夏にぴったりの作品です!

※ネタバレ含みます

概要

『マインド・ゲーム』『四畳半神話大系』『ピンポン THE ANIMATION』など、人気原作の映像化で知られ、個性的な演出で注目を集める湯浅政明監督の完全オリジナル劇場用長編アニメーション映画作品。

音楽好きな人間の少年と、海で生きる人魚の少女の絆、その出会いと別れを丁寧で繊細な描写で綴った本作。フランスの「アヌシー国際アニメーション映画祭」の長編コンペティション部門に出品される。日本映画としては「平成狸合戦ぽんぽこ」以来、実に22年ぶりとなる最高賞のクリスタル賞を受賞する。

人魚の少女ルーの声を谷花音、主人公カイの声を『くちびるに歌を』の下田翔大が担当。

あらすじ

寂れた漁港日無町で、父親、祖父と3人で暮らす反抗期の男子中学生、カイ。両親の離婚が原因で、東京からうらびれた日無町へ引っ越してきたカイは、両親に対して複雑な思いを抱えていながらも、それを口に出すことができず、鬱屈した日々を過ごしていた。そんなある日、クラスメイトでバンド仲間の国男と遊歩に誘われ人魚島を訪れたカイは、そこで人魚の少女ルーと出会う。カイは天真爛漫なルーと共に過ごすうちに、徐々に自分の気持を言えるようになっていく。しかし、日無町では、古来より「人魚は災いをもたらす存在」とされており……。

感想

はじめに、映画『夜明け告げるルーのうた』を観た感想をお伝えします。

人魚は敵?それとも友達?

本作では、舞台である日無町の人間たちが、古くからの伝説とされる「人魚」に対して抱くさまざまな感情が描写されています。

人魚への感情は、人魚と実際に触れ合った者、伝承でしか知らない者、人魚によって大切な人を失った(と思っている)者など、立場によっても異なります。

たとえば主人公のカイは、音楽がきっかけで人魚のルーと知り合い、共に過ごすうちに打ち解けていき、愛情を抱くようになります。一方カイの祖父は、幼い頃、母が人魚にかまれ海に落ち、帰らぬ人となった過去を持っています。そのため、人魚に対し憎しみのような感情を抱いているのが分かります。

言い伝えや噂でしか人魚を知らない人は、恐れたり、関心を示したり、さまざまです。しかし、「人魚が人を食べる」という言い伝えがあることから、あまり良いイメージを持っていない人が多い印象です。

しかし実際に主人公のカイが触れ合う人魚たちは、人間に危害を及ぼそうとしているわけではなく、むしろ友好的な関係を望んでいました。さまざまな誤解の中で、いつしか人魚が恐るべき存在と決めつけられてしまったようです。

こうした人間の決めつけにより、人魚を守る「お陰岩」の祟りが起こり、日無町の人びとは一時危険な目に遭ってしまいます。

このようなストーリー展開は、物事や他人に対し、多くの視点から見ずに物事を判断してしまうことの是非を問いているように感じます。

物事の真実を自分の目で確かめ、そのうえで判断することの大切さを知ることができる作品といえましょう。

好きなものを好きと言える大切さ

前述したとおり、主人公カイの住む日無町では、人魚は恐るべき存在とされています。

しかしカイは人魚のルーと出会い、その天真爛漫で自由な姿に惹かれていきます。カイは祖父のこともあり、人魚を憎む人びとが多く町にいることをよく知っていたでしょう。しかしカイにとってルーは大切な存在であり、それは揺るぎない事実なのです。

大人になればなるにつれ、好きなものを「好き」と言うことが難しくなっていきます。それは見栄やプライドであったり、自分を守るためであったりします。

どうして好きなものを好きでいたらいけないのだろう。カイはそうした大人のしがらみに嫌気がさしたのかもしれません。

終盤、カイがルーに「好き」の気持ちを伝えるシーンは胸が熱くなります。周囲の視線や自分のプライドなどからなかなか言えずにいた気持ちですが、ルーはそれを素直に受け止め、喜びを露わにします。

純粋に誰かを好きになり、その気持ちを伝えることの大切さをじんわり教えてくれる作品です。

見どころ

次に、『夜明け告げるルーのうた』の見どころを深掘りしていきましょう。

音楽

本作の大きな魅力は、音楽です。冒頭シーンからカイの打ち込み音楽で始まります。その時点で自然と体が動いた人は、間違いなくこの作品を楽しめるでしょう。

作中、カイは同級生の遊歩、国男と共にバンドを組みます。このバンド練習がきっかけで人魚のルーと出会い、彼らは音楽を通して繋がっていきます。

ルーの歌声には不思議な力があり、聴いた者は勝手に体がリズムを取ってノってしまうようになっています。口では人魚に否定的な町民たちも、ひとたびルーの歌声を聞けば、痛快なステップで踊り狂ってしまうのです。

そのため、本作では、湯浅監督の最新作『犬王』と同様、「音楽の力」を感じずにはいられません。音楽の力で国境を越えようとした『スィング・キッズ』も思い出しました。

主人公カイが歌う「歌うたいのバラッド」

物語終盤、お陰岩の祟りでピンチとなった町民を非難誘導し助けていたルーたちは、力を使い果たし疲労困憊していました。そんな人魚たちを元気付けるため、カイは「歌うたいのバラッド」を歌います。

これは、バンドマンを目指していたカイの父の古いカセットに入っていた歌でした。

このシーンは本作随一の見どころ、そして聴きどころです。

少年カイの歌声は無骨で、決して洗練されたものではないのですが、それが嘘臭さがなく等身大ですごく良い。あまり上手くない故に、かえって響くほどです。それは、「上手く歌おう」としているのではなく、「大切な人に気持ちを伝えよう」としているからこそ、人の胸を打つのかもしれません。

細かい「音」にも注目

ぜひ本作を観る際は、劇中で流れる細かい「音」に注目してみてほしいです。例えば、ルーが海の水を操る時には「スイッ」といった音が流れ、それはルーの匙加減により、よく聴くと一つひとつ異なります。

お陰岩の祟りで水難した町民を助ける場面で、海から地上に人びとを誘導した際は、解放されたような音が流れます。

このように、そのシーンにあった無駄のない音というのも本作の魅力の一つでしょう。

アニメーションならではの表現

湯浅監督作品の大きな特徴として、アニメーションならではの柔軟性の高い自由な表現というのがあり、本作もその魅力が遺憾無く発揮されています。

たとえば夜は海の色が蛍光グリーンに輝いていたり、町民達のダンスシーンでは、うねうねとタコのような動きで足がうごしていたり。現実世界では起こり得ない誇張表現を、独創的に、そして違和感なく描いているといるのが素晴らしい点です。

キャラクターの表情も多様で、怒った時は顔が膨れ上がり、脱力した時はふにゃふにゃととろけんばかりになります。こうした一つひとつのこだわりに目が離せず、観客を魅了する作りになっているのが湯浅監督のすごいところでしょう。

この作品を通し、アニメーションは常に心象風景であることを実感しました。劇中で起こっていること、表現されていることが事実とは限らない。もちろんルーや人魚たちの不思議な力は虚構そのものです。しかし、キャラクターの動きや回想シーンの描き方なども、作り手が観せたい風景を自由に描写できる。そういった虚構性がアニメの面白さであり、本作はそんなアニメならではの魅力を再確認できるものになっています。

『夜明け告げるルーのうた』が楽しめる人の特徴

映画『夜明け告げるルーのうた』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。

  • 湯浅政明作品が好き
  • 音楽が効果的に使われる映画が好き
  • ファンタジー映画が好き
  • 映像が綺麗なアニメーション映画が好き
  • アニメならではの誇張表現が楽しめる
  • 想いを伝えたい相手がいる

『夜明け告げるルーのうた』が好きな人におすすめの映画

ここでは、映画『夜明け告げるルーのうた』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!

マインド・ゲーム

『アニマトリックス』などで注目を集めたSTUDIO4℃が、ロビン西原作のコミック「マインド・ゲーム」を長編アニメーション映画化。劇場版『クレヨンしんちゃん』で注目を集め、シュールで独特な世界観が光る短編作品『ねこぢる草』を手がけたアニメーター湯浅政明が初の長編監督に挑んだ作品。

一度は死んだものの生き返った青年の一筋縄ではいかない生きざまを、実写や2D、3Dなど多様な映像表現を駆使しハイテンション・エネルギッシュに描ききった意欲作です。声優は今田耕司や藤井隆ら吉本芸人が多数出演していることでも話題になりました。

「なんて無様な人生、なんて醜い死に方、まだ、20歳なのに…」

最低にカッコ悪い死に方をした男が、生への執念と気合だけを頼りに、猛ダッシュで復活!

幼なじみの初恋相手、みょんちゃんに再会した西。しかし、借金の西はみょんと姉、ヤンの営む焼き鳥家に取り立てにきたヤクザによって惨めな殺され方をしてしまう。現世への未練が拭いきれない西は、神様に逆らい再び現世に舞い戻ることに成功する。しかし、今度はひょんなことから巨大クジラに飲みこまれてしまい……。

おすすめポイント

この作品は、湯浅政明さんの長編デビュー作です。

湯浅監督の持ち味である、ころころと変わっていくシーンの連続や、ビビットな色合いで描かれる心象風景や精神世界、ジェットコースターのように目まぐるしいストーリー展開などが存分に盛り込まれています。

原点にして頂点という言葉がありますが、『マインド・ゲーム』は、湯浅監督の世界観、魅力が特に発揮されている作品なのではないかと思います。

『夜明け告げるルーのうた』の不思議な世界観にハマった方は、ぜひこちらの作品もチェックしてみてください。

ピンポン

『ピンポン THE ANIMATION』のタイトルで、2014年4月〜6月までフジテレビ『ノイタミナ』枠にて放送。松本大洋原作。

本作はあらかじめ用意された脚本がなく、湯浅政明監督が絵コンテから描き始め、そこでセリフなどを決めているということでも有名。

2015年、「東京アニメアワードフェスティバル 2015」アニメ オブ ザ イヤー部門テレビ部門グランプリ受賞。

ピンチのときには必ずヒーローが現れる。片瀬高校卓球部に所属する、自由奔放で自信家、天真爛漫なペコ(星野裕)。クールで笑わない、天才カットマンのスマイル(月本誠)。辻堂学院の留学生、チャイナ(孔文革)。常勝・海王学園の主将、ドラゴン(風間竜一)。同じく海王に通うペコとスマイルの幼馴染、アクマ(佐久間学)。各人、それぞれ卓球への思いを抱え、インターハイ予選は近づく。「274cmを飛び交う140km/hの白球」。その行方が、頂点を目指す少年たちの青春を切り裂く…。

おすすめポイント

アニメ『ピンポン』は、『鉄コン筋クリート』同様松本大洋氏原作。湯浅政明監督作品で、『ノイタミナ』枠で放送されました。

原作の魅力をそのままに、アニメーションでしかできないテンポ感のある映像表現が実現、高クオリティのアニメ作品として多くの視聴者の心を震わせ、「東京アニメアワードフェスティバル 2015」アニメ オブ ザ イヤー部門テレビ部門でグランプリを受賞しました。

『ピンポン』は全11話のアニメ作品ですが、ぜひ全話通して観ていただきたいです

四畳半神話大系

主人公は、京都のとある大学に通う三回生の 「私」 。「私」は、 大学での薔薇色のキャンパスライフを夢見ていた。しかし、現実はほど遠く、悪友小津のおかげで実りの少ない二年間が過ぎようとしていた。 「私」はことごとく小津に振り回され、謎の自由人 樋口師匠には無茶な要求をされ、孤高の乙女で気になる存在の明石さんとは、これがどうしてなかなかお近づきになれない。この2年間無為に過ごしたことを悔いていた「私」は、いっそぴかぴかの一回生に戻り、もう一度大学生活をやり直したい と考えるようになる。「もし、あの時計台前で、別の道を選んでいたら、俺のキャンパスライフはどうなった…?」

その願いの呼応したかのように、私は不思議な並行世界に迷い込む。パラレルワールドで繰り広げられる、不毛と愚行の青春奇譚がアニメ化。

おすすめポイント

「もしも別の人生をやり直せたらどうなっていた?」をテーマに、主人公は並行世界を歩き続け、常に同じ結末を辿ってしまう奇奇怪怪な青春奇譚。『ピンポン』同様、ノイタミナ枠で放送されたアニメ作品です。

本作は、現実世界を主軸にファンタジー要素が組み込まれるタイプのアニメで、やはり湯浅監督独自のアニメーションならではの誇張表現がこれでもかと盛り込まれています。さらにそうした演出が舞台である京都の街を最大限生かしてなされるので、京の町が好きな人ならテンション上がること間違いなしです。

作品にハマったら、鴨川デルタ、下鴨神社、四条河原町などゆかりの地を聖地巡礼してみるのもまた一興です。

犬王

南北朝から室町期に活躍した実在の能楽師、「犬王」をモデルに織りなす古川日出男氏の小説「平家物語 犬王の巻」を、『夜明け告げるルーのうた』『ピンポン』の湯浅政明監督がミュージカルアニメとして長編映画化。

「ピンポン」「鉄コン筋クリート」を生み出した漫画家、松本大洋がキャラクター原案、「アイアムアヒーロー」の野木亜紀子が脚本を担当。豪華製作陣に加え、女王蜂アヴちゃん、森山未來が声優に起用。

京の都、近江猿楽比叡座の家に、1人の子供が誕生した。その子こそが後に民衆を熱狂させる、能楽師「犬王」だった。しかしその姿はあまりにも奇怪で、比叡座の大人たちは犬王の全身を衣服で包み、顔に面を被せた。ある日犬王は、盲目の琵琶法師少年「友魚(ともな)」と出会う。生きづらいこの世を生き抜くためのパートナーとして固い絆で結ばれた2人は、互いの才能を開花させ周囲に認められていく。舞台で観客を魅了する犬王は、演じるたび身体の一部を解き、唯一無二の美を獲得していく…。

おすすめポイント

『犬王』が、現在公開中の湯浅監督最新作です。

こちらも『夜明け告げるルーのうた』同様、「音楽の力」が存分に描かれた作品になっています。ミュージカルアニメと謳うだけあり、ライブを観戦するような感覚で楽しめる映画です。

音楽と映像の融合という点では『ルーのうた』の負けず劣らずで、さらに劇中のライブシーンはフェスをイメージしているということで、臨場感満点です。

湯浅監督の自由な発想が生かされたアニメーションで音楽を楽しみたいという方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上、『夜明け告げるルーのうた』の見どころや感想をご紹介しました。

この作品は何度も観ているのですが、いつ観ても「音楽って良いなあ」「人を好きになるって素敵なことだなあ」と純粋な気持ちになることができます。

海の見える町が舞台なので、夏にぴったりの作品です。今夏は涼みながら本作を観てみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました!